帰ってきたヨガ日記(ヨガはしない)

高幡という人が書いています

「奇想の系譜展」に行ったメモ

先の土曜日に「奇想の系譜展」行ってきまして、その備忘録。作品名横のA~SSは作品の好み。SSが最高。

美術館、スマホでメモを取らせてくれたら最高なんですが、やっぱり難しいのかな。

 


伊藤若冲

何年か前にやった若冲展は地獄の混みようだった(朝早く行ったのに3時間くらい並んだ)。若冲については『ギャラリーフェイク』で知って、まさか近年こんなにブームになっているとは知らなかったんですよね。

梔子雄鶏図(B)
おそらく若冲30代の作品とのこと。これと「紫陽花双鶏図(A)」との比較が人の上達を感じられて面白かった。いや、もうこの時点で上手いのだけど、作品解説に書いてあるようにやっぱりなんだか固さがある。

石榴雄鶏図(S)
この展示会の若冲作品の中で一番濃い鶏だと思った。とにかく濃い。

虎図(SS)
若冲の名前知らなくてもこの虎は見たことがあるって人も多そうな有名作品。ユーモラスな表情に丸みのある逞しい体、それだけでももうずーっと眺めてられるのだけど、ぜひ間近でその毛並みを見てほしい。はー、触りたくなる。

象と鯨図屏風(SS)
でかぁぁぁい!説明不要!屏風の大きさを活かしたダイナミックな構図に2匹の巨獣という大興奮の一品。迫力があるけれど愛嬌のある象と、どう見ても鯨なのによく見るとただの黒い半円のようなものでしかないそぎ落とされた描き方がたまらない鯨。家に欲しい。


・曽我蕭白

この人は……なんですかね、何をどうしたらそんな表情を濃くしたくなるんだろう


獅子虎図屏風(SS)
人物がの表情も濃いけれど、動物の表情まで濃くなるのか。この企画展ではいろいろな作家の虎が見れるんですが、間違いなく表情が一番濃いのは蕭白の虎でした。体は割とシャープなんだけど、いやもうほんととにかく顔ですね。

虎渓三笑図(SS)
とにかく濃いのが蕭白なのかなーって思ってつらつらと展示を見ていて最後の方にこれが展示されていて、ハチャメチャなショックを受けた作品。遠景を描いた作品の線は直線的で、橋の上の三人もそれまでの濃さとは打って変わって簡略化されているし、作品全体がソリッドで記号的なんだけれど、そこがやたらと格好いい。でもこれはここまで蕭白の濃さを見てたからよりインパクトがあったのかなとも思います。


長澤芦雪

絵を見てて「あれ?丸山応挙っぽい?」と思って作者解説に立ち戻って読んでみたらやっぱり応挙の弟子だった。動物に愛嬌があってとても好みで、手元のメモを見ると一番メモが多い人だった。


龍図襖(SS)
鋭いかぎ爪、闇の向こうに霞む巨体、荒々しいパーツの顔とそろっているのに、どこか優しい顔の龍がたまらない。格好いいのに優しい。家に欲しい。

白象黒牛図屏風(SS)
ワンちゃん。とにかくワンちゃん。あんなかわいいワンちゃん。ていうかなんだあれ。あの犬種なんだ。

雲龍図(S)
かぎ爪をこちらにグっと向けたポーズが印象的なイケメン龍。

猛虎図(SS)
胸筋の張り具合といい、キリっと引き締まった表情といい、やたらと男前な虎。本企画展でイケメン人気投票したら1位とると思う。あと、昨今の亜人系作品に出ても人気を掻っ攫うでろう妙に人間臭いというか、虎だけど色気を感じさせるイケ虎だった。

なめくじ図(S)
俺でもかけるんじゃないか……?と思わせてくるけど、いや、無理なんだろなあ。でもこの作品、金持ちの嫌な奴に「金を払うからなんか描いてよ」とか嫌な発注されて、やけくそになって描いて高値吹っ掛けたとかエピソードがあっても納得する。

山姥図(A)
山姥が扇を構えて妙に雅なポーズをしている山姥だなあと思いながら眺めていたけど、いま改めてみるとこれ笠を背負ってるのかな。わからなくなってしまった。たぶん笠を背負ってるなこれ……


岩佐又兵衛

あまり好みにはまらなかったようです。

妖怪対峙図屏風(A)
人間臭い妖怪を弓矢でボッコボコにしてるのが面白かったのでAをつけてた模様


狩野山雪

龍虎図屏風(B)に「虎が弱い」とだけメモしてるのは我ながらひどいと思う。でも、虎が弱い。


白隠慧鶴
禅宗の僧侶だからなのかどうなのか、発想のぶっ飛び具合は一番だった。妙にポップなんだよなあ。

達磨図(SS)
「朱ダルマ」ともいうらしい、その通称の通り、着物の朱が目を引く。デフォルメされたぶっとい線の体に、これまた極度にデフォルメされた目鼻のでっかい頭。とにかく一度見たら夢にも出てきそうなインパクト。デフォルメの仕方が現代風にすら感じられる。

無(S)
絵のタイトルを見るまで「なんだこりゃ?」としか思えなかったけれど、タイトルを見たあとに眺めていると「あー、言われてみれば?」「いやいや、見れば見るほど?」「え、ていうかこれかっこいいな……?」となってくる不思議な作品。床の間に欲しい。


・鈴木其一

あまり好みにはまらなかったようです。

夏秋渓流図屏風(A)
一発で引き込まれる青に惚れた。惚れたんですけど、これ単純に自分が絵画の中の青が好きってだけな気がしてる。フェルメールブルーとか、北斎の藍とか、全部好きなんですよね。


歌川国芳
大好き(説明省略)

一ツ家(S)
山姥の鬼気迫る表情、右手に持った包丁とぐっと踏ん張っているポーズ、息をのむ作品。子供に見せたら泣くと思う。


相馬の古内裏(A)
国芳ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!うおー!!愛してるぞー!!ってなるような、the国芳というような作品。はー、巨大な髑髏たまんねえなあ。よくグッズにもなっている。

宮本武蔵の鯨退治(SS)
鯨……?鯨なのかこれは……?愛嬌のある鯨、ダイナミックな荒波が一度見たら忘れられない絵です。タイトルは宮本武蔵のとなっているけど、肝心の武蔵さんは鯨の背中にちょこんと乗っているので、メインは完全に鯨。

 

讃岐院眷属をして為朝をすくふ図(SS)
讃岐院眷属が白抜きで表現されているのも斬新で格好いいし、鰐鮫の荒々しい鱗にインパクト強すぎの顔、格好良さとユーモラスさが同居した大好きな絵。これも海の青がいいんだよなあ。

 

 

各作家の動物を見比べるだけでも楽しめる、素敵な企画展でした。そんなに混んでないしおすすめです